イギリス式では G/F が地面の階、1/F は2階を指します。アメリカ式と日韓式は入口の階がそのまま1階で、両方式はまるまる1つずれます。基準は正面扉を開けて入ったときの足元の階です。タクシーでは階数を言わず ground floor, by the entrance と伝えるか、1108号室なら11階と部屋番号を送るのが確実です。
1. G/F:Ground Floor、地面と同じ高さの階
G/Fは Ground Floor(グラウンドフロア)の略で、建物の正面扉を開けて入ったときに足元にある階のこと。イギリス式の表記で、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、香港、マレーシア、シンガポール、インド、そしてヨーロッパの大部分(フランスの rez-de-chaussée、ドイツの EG、スペインの planta baja など)で使われます。図面ではこの階を単に 0 と表すことも多いです。
アメリカ式(アメリカ、カナダ、そしてそれを採用した日本と韓国)にはG/Fがありません。通りから入った階はそのまま 1st Floor です。同じ建物でも両方式では階番号がまるまる1つずれます。これがすべての階数トラブルの根っこです。
正面扉を見てください。通りから入ったときに足元にある階が、イギリス式ではGround、アメリカ式・日韓式では1階。ほかの番号はすべてそこを起点に数えます。
2. 1/F:イギリス式の国では「2階」を意味する
ここが一番の罠です。香港の1/F、クアラルンプールのオフィスビルのLevel 1、ロンドンの店舗のFirst Floorは、いずれも入口の階のひとつ上を指します。地面の階が「1階」の環境で育つと、足が勝手に通りに面した階の店へ向かいますが、相手が指しているのはその上の階。私が階段のそばで20分待つことになったのも、まさにこのパターンでした。
逆もまた然りです。イギリスに慣れた人がアメリカで「meet me on the first floor」と言われて、習慣で一段上に上がると、やはり違う階に着きます。
3. LG、M、B1:エレベーターのその他の略語
- LG(Lower Ground):半地下。B1より半分だけ高く、窓の半分ほどが地面より上に出ていて採光があります。坂の上に建つコンドミニアム(ペナンでよく見かけます)では、駐車場がLGにあることが多いです。
- M(Mezzanine):中2階。階と階の間にある中間フロアで、ショッピングモールでよく見られます。
- B1 / B2(Basement):地下駐車場や地下1階の店舗。
- P / P1 / P2(Parking):駐車場フロア。
- L(Lobby):ロビーの階。
- R(Roof):屋上。
また、賃貸広告の「G+1」「G+2」は建物の階数を表します。G+1なら地面の階+1階、全2階建ての意味で、部屋番号ではありません。

4. 地域別の対照表
| 地域 | 地面の階の表記 | 「1階」の意味 |
|---|---|---|
| イギリス、アイルランド | G / Ground Floor | 地面の階のひとつ上 |
| オーストラリア、ニュージーランド | G / GF | 地面の階のひとつ上 |
| 香港、マレーシア、シンガポール、インド | G/F または G | 地面の階のひとつ上 |
| アメリカ、カナダ | 1st Floor / Lobby | 地面の階 |
| 日本、韓国 | 1F / 1층 | 地面の階 |
| ヨーロッパ大陸 | EG / 0 / planta baja | 多くの国で地面の階のひとつ上(フランスの1er étage、ドイツの1. Stock など) |
覚え方のコツ:イギリス式は0から、アメリカ式と日韓式は1から数える。G/Fを見たら頭の中で0に置き換え、その上はすべて1つ足して読めばいいのです。
5. 日本と韓国:1Fは地面の階だけど、独自の罠がある
日本と韓国はアメリカ式を採用しています。1F/1층は正面から入った階そのもので、宿の予約に「5F」とあれば、本当に入口から4階分上がります。ただし両国共通の古典的な落とし穴が「4階がない」ことです。「4」の発音が日本語(し)でも韓国語でも「死」を連想させるため、多くの病院・ホテル・マンションではエレベーターが3の次に5を点灯させます。韓国ではボタンに4の代わりにFと表示している建物も少なくありません。ボタンの数で建物の高さを推測すると、ずれてしまいます。
6. タクシーと待ち合わせ:階を伝え間違えない方法
方式が違う相手と話すとき、数字そのものは頼りになりません。「基準」と「部屋番号」で伝えます。
- 基準物で説明する:「2階にいます」ではなく「通りから入った階のひとつ上」(the floor one level above where you walk in from the street)と言う。基準物は方式をまたいで通用しますが、数字はそうではありません。
- 部屋番号をそのまま送る:マレーシアのコンドミニアムの部屋番号はたいてい階数を含んでいて、1108号室なら11階の08号室という具合です。ドライバーや友人には口頭で説明するより、完全な部屋番号を送るほうが速いです。
- ロビーで待ち合わせる:ホテルやモールなら「ground floor lobby」や「the lobby by the front desk」が最も間違いにくい集合場所です。
タクシーも同じです。迎えの場所は階数より「hotel lobby」のほうが安全。ドライバーに「which floor」と聞かれたら「ground floor, by the entrance」と答えておけば、まず間違いありません。
7. ホテル・ゲストハウス予約時の3つの確認
- ground floor room の意味を正しく読む:イギリスやヨーロッパのゲストハウスでは「ground floor room」は階段を使わずに済む部屋という意味。大きな荷物や小さな子ども・高齢者連れには不利ではなく、むしろ利点です。
- 階数の要望は正確な言葉で:静かな高層階が欲しければ「a room on a higher level」、出入りしやすさ重視なら「ground floor or low level」。数字だけ書くと、方式によって意味が変わってしまいます。
- 初日にその建物の流儀を把握する:一度エレベーターに乗って、入口の階がG・L・1のどれで表示されるか確認しておけば、後の待ち合わせで迷いません。
階数表記に正解・不正解はなく、方式が違うだけです。「入口の階が原点」という原則さえ押さえれば、あとの略語はすべてその変形にすぎません。
よくある質問
イギリスの first floor は何階?
地面の階(Ground Floor)のひとつ上、アメリカ式でいう2階にあたります。地面の階自体は Ground Floor または G/F と呼ばれます。
G/F と 1/F は同じ階?
違います。G/Fは地面と同じ高さの入口の階で、1/Fはそのひとつ上。イギリス式の国で1/Fを見たら、もう一段上がる必要があります。
LG と B1 の違いは?
LG(Lower Ground)は半地下で、窓の一部が地面より上に出ており採光があります。B1は完全に地下で、さらに深く、駐車場に使われることが多いです。
マレーシアで「1/F」に待ち合わせたら、どの階へ?
現地の建物はイギリス式の表記が多く、1/Fは入口の階のひとつ上を指すのが一般的です。確実なのはロビーで会うこと、または部屋番号を交換すること——マレーシアのコンドミニアムは番号の頭の数字が階数になっていることが多いです。

